Teamwork Story

DX推進プロジェクトストーリー

DXの推進 企画×営業

業務を一変させるDXを、
不動産業界に行きわたらせるために。

テクノロジーを駆使し、不動産業務のDXを推進するアットホームのサービス『スマートソリューション』。2019年にリリースした『スマート申込』は、それまで紙に頼っていた入居申込の業務をWeb上で完結できるサービスです。画期的なソリューションとして注目を集め、管理機能の利用加盟店数は全国11,000店を突破(※)。今なお進化を続ける『スマート申込』は、どんな壁を乗り越えながら生まれたのか。そして、どんな想いが込められているのか。プロジェクトの中心にいた3名に聞きました。
※2024年1月時点

メンバー

企画担当
川村 龍平
不動産DX企画部
サービス企画室
2012年入社
マーケティング担当
佐藤 千恵
不動産DX企画部
サービス企画室
2009年入社
営業担当
川口 巧
神奈川営業部
2016年入社
※取材当時

テーマ1

『スマート申込』の企画はどのように立ち上がったのですか。
川村

当社では不動産会社の業務である物件確認や内見申込、契約業務といったさまざまな場面のスマート化を進めています。全てのスマートソリューションに共通する出発点ですが、まず不動産会社の業務に着目し、システム化によって大きなメリットを提供できる部分がないかを探ります。その中で、今回は「入居申込」がテーマになりました。まだまだ紙を中心としたアナログな対応が多く、煩雑な仕組みになっていたからです。それを解決するためにどのような技術が最適なのかを選択し、どれくらい効率化できるのかを数値で裏付け、初案としてまとめた後に営業担当と連携しながらニーズの有無をリアルに見極めていきます。

川口

実際に加盟店さまを訪問し、ヒアリングを行います。「申込業務はどのような流れで行っていますか」「課題に感じることはありますか」「例えば、こういうことができたら便利だと思いますか」など、細かく聞き取った声を数十社分集めて、サービス化の方向を具体的に決めるためのヒントにするんです。

川村

PoC(Proof of Concept:概念実証)にも力を入れましたね。試作したシステムを、加盟店さまにお願いしてテスト稼働させるプロセスです。そのPoCの最前線にいたのが佐藤さんでした。

佐藤

加盟店さまに私たちがつくろうとしているサービスについて提案し、ご賛同いただくことが目的でした。今回は大手の加盟店さまにご協力いただくことができました。先方が行っている業務を漏れなく洗い出してフロー表を作成したうえで、『スマート申込』を導入した場合の新フローをお伝えし、実行していただく流れです。実際に使い始めてみると、マッチしない部分がいくつも出てくるので、その内容を川村さんたちに戻し、対策してもらいます。

川村

その「フィット&ギャップ」に一番時間が掛かるんですよね。

なぜギャップが生まれるのでしょう。
川村

不動産を取り巻く業務って、本当にパターンが複雑なんですよ。サービスをつくるときはまず、「正常線」と呼ばれる寄り道のない通常業務の流れに沿って、問題なく動くことを目指します。ところが、実際の業務はイレギュラーの連続です。例えば「入居希望者が申込内容を入力完了したけど、審査中にやはり修正したくなったら誰にどのように変更点を通知しておくべきか?」。こういうことは事前のヒアリングでもなかなか出てこなくて、実際に運用を始めてからポロポロと分かるんですね。見つかったギャップはできるだけ埋めたうえで再びテスト稼働させ、新たに明らかになったギャップにまた対応する。これを繰り返していく。企画の立ち上がりはスムーズでしたし、会社としても「やるぞ」という意気込みでしたが、やっぱりリリースまでが大変でした。

テーマ2

PoCが完了すると、いよいよ営業現場で拡販が行われる訳ですね。
川口

そうですね。ただ、リリースをもって完成という訳ではありません。販売活動を行い、加盟店さまごとの実務に沿って運用を構築し、稼働することで新たな課題点が見つかることがあります。修正によって多くの加盟店さまにメリットがあると見込めれば、新たな機能の追加などが常に行われます。加盟店さまのご要望をもとに一緒にサービスをつくっていくイメージですね。

佐藤

私は業務の中で営業担当からの問合せに対応していますが、「こういうことはできないんですか」という質問に対して、「なぜそうしたいと思うのか」と背景まで深掘りしたうえで、要望として開発部に挙げています。加盟店さまから寄せられる声も非常に熱いんですよ。A4数枚の「要望書」として送ってくださる方もいらっしゃるくらいです。

川口

ありがたいですよね。率直な意見を聞かせていただけるので、私たちも熱量を維持したまま動き続けられます。加盟店さまとアットホームの信頼関係があってこそのことだと自負しています。

川村

自然と追加リリースの頻度も高くなりますね。2〜3カ月に1回、多ければ毎月のペースで新しいリリースがあります。私たち企画側も大変だし、加盟店さまに告知する営業担当も大変だろうけど(笑)、本当に役に立つサービスにするには、それぐらいのスピード感で変えていかなければなりません。

加盟店さまに『スマート申込』を導入していただくにあたって、課題は何でしょう。
川口

大前提として、加盟店さまは「今の業務を変えたいと思っていない」ことです。各社やりやすい方法で業務を運用している訳ですから、そこに問題があるとは考えていらっしゃらない。まずはその意識を変えられるかどうかがカギですね。そしてもう一つ。『スマート申込』を導入したからといって、すぐに業務が楽になる訳ではありません。むしろ、『スマート申込』と紙での申込が混在する移行期間は、一時的に業務が増えてしまうこともあるんです。

それは確かに不安要素ですね。
川口

それを乗り越えるために、私たちが加盟店さまの社員であるかのように寄り添って、業務を一つ一つ変えていきます。もちろん時間は掛かります。けれど半年後に振り返ったときに、トータルでは業務量がこんなに減った、効率はこんなに上がったという状態を目指して、同じ目線で粘り強く取組みます。そのときには加盟店さまの業務に誰よりも詳しくなっていますから、寄せられる信頼も大きくなります。

テーマ3

いくつもの壁を乗り越えながらサービスを送り出していることがよく分かります。そこまでするモチベーションは何なのでしょう。
佐藤

単純に聞こえてしまうかもしれませんが(笑)、最初に『スマート申込』のコンセプトを聞いたときに、すごく面白そうだと思えたんです。これが実現できて、加盟店さまに広がっていったら業務の改革が本当に起こるんじゃないかという期待がありました。その第一印象が、ずっと私のモチベーションでしたね。実際にスマートソリューションを導入した加盟店さまからは、「体感で業務効率が1.5倍くらいになった」という言葉もいただきました。期待が現実になっていると感じます。

川口

私たちの基幹サービスは、言わば加盟店さまの業務の一環をそのまま提供しているようなものです。加盟店さまの業務として定着すれば、この先ずっと使っていただける。欠かせないものになっていく。やはり私たちは加盟店さまにとって絶対に必要な存在でありたいですし、「広告を出稿したらそれで完結」ではなく、日々の業務に寄り添うという部分がアットホームらしさなのかなと思います。

川村

不動産業界のこれからをすごく意識しますよね。「不動産DX」のような言葉は世の中にあふれていますが、それを加盟店さまが自社でやろうとすると相当なコストが掛かる。大手ならともかく、地場の小規模な不動産会社にはハードルが高い。そこにアットホームが入り、DX推進をお手伝いしていく。アットホームは常に「不動産業界に対してできることはないか」と模索している会社ですから、そういった業界貢献としての意味も『スマート申込』などのサービスには込められています。

「大手だけではなく、地場の不動産会社にも」というところがポイントなのでしょうか。
川口

投資力のある大手ばかりでDXが進むと、効率化によってサービスがどんどん安くなり、地場の不動産会社は戦えなくなるかもしれない。そういった不均衡が起こらないようにすることも業界のためには必要です。私たちアットホームも、加盟店さまがきちんと収益を得ることでサービスを利用していただけます。ですから、決してDXそのものが目的だという訳ではない。DXにより加盟店さまの利益を最大化するという使命感を持って業務に取組んでいます。

川村

そういう思いがあるから、PoCを始め、最初は大手の加盟店さまに提案するんですよね。

佐藤

大手の加盟店さまがお持ちの知見を吸収して、地場の中小不動産会社にも広げていく。

川村

もちろん、大手の加盟店さまにはこの意図をご説明していますし、利点もあります。自社でIT企業に発注してシステムをつくればコストがかかりますが、PoCにご協力いただくのであればその必要はありません。また、アットホームが不動産業務への理解が深いことも、メリットに感じていただけているのではないでしょうか。

テーマ4

最後に、これから取組んでいきたいことを教えてください。
川口

改めて、ここまでできる会社は世の中にないのではないかと思います。業界貢献という観点から企画をスタートさせ、業務理解を深めて開発を行い、導入後も徹底的なサポートを続ける。サポートについても、複数の職種の社員が1社の加盟店さまを支える体制がある。こうしたところにもアットホームの本気が表れています。これからも全員で加盟店さまに向き合い、求められる基幹サービスの提供を実現していきたいと考えています。

佐藤

アットホームは、加盟店さまの立場に立った活動を一貫して行ってきました。その信頼をベースとしながら、DXへのハードルを下げ、アットホームのサービスをご利用いただきやすい環境をつくることで、業務全体にソリューションをもたらしたいと思います。WIN-WINの関係を築いていきたいですね。加盟店さまを深く「知り」、当社を「知っていただき」、私たちから「気づきを与えられる」存在であり続けられたらと思います。

川村

コロナ禍を経験したことで、不動産業界においても非対面業務のニーズや不動産テックへの注目が高まっています。スマートソリューションをさらに推進させていくことで、新しい価値を次々に提供していきたいですね。